Tuyoshi SHIMA

 

 作:嶋 津与志

 

 

 

わがグレート・マザーとの再会

沖縄では何が起こっても不思議はない。唐突で、おかしく、おもしろい。 ウチナー(沖縄)とヤマト(日本本土)とアメリカとの三角関係はいまにはじまったことではないけれど、これほどいかがわしい悪縁もめったにない。 琉球政府時代の沖縄は「自治」の実験場といわれたが、復帰25年を経た現在でも事情はあまり変わっていない。沖縄はいまでも「人権」の実験場であるかもしれないし、「民主主義」の実験場というべきかもしれない。 実験場というからには、時間も空間もドラマチックに構成されている。空から爆弾が落ちてくるかもしれないし、海底から放射能が沸きだしてこないともかぎらない。基地があって戦跡があって、その谷間のところで人びとは車座になって三線をひいて遊んでいる。この混沌とした文化的個性はヤマトと向かい合うとひときわ過剰に反応する。ウチナーはヤマトにとって何であったか、ヤマトはウチナーにとって何であるのか、合わせ鏡のような問答がはてしなく続いて、気がついてみるとドッペルゲンゲのような自分の貌(かお)に直面してギョッとなるかもしれない。ウチナーはヤマトの実験場でもあり、日本人であるところのあなた自身の実験場であるかもしれない。現在のオキナワに現在のヤマトをぶつけたら未来にどんな答えが出てくるだろうか。われわれウチナー・グループとヤマト・グループの混成団は一台の架空のバスを仕立てて“基地の島”を縦断してみることにした。手さぐりの、前途不透明な旅立ちであった。バスの中ではいろんなことがおこった。音楽と歌と踊りと奇妙なセリフの絡み合いがあって、人びとはだんだん喜劇的に自分自身の素地をあらわしてくる。腹をかかえて笑いころげていると、ふと笑いの対象は自分自身ではないのかと立ち止まってしまう。現代を漂流する奇怪なバスの中では何が起こるか、保証のかぎりでない。なぜなら、観客自身がこの奇妙なドラマの片棒をかついでいるのだから。 わたし自身は、平良とみ演ずるところのオミトお婆ぁと演出の加藤直さんや娘さんたちのおもしろい“対決”を側で見ているうちに、お婆ぁのしたたかな哄笑の響きに遠く忘れていたグレート・マザー(太母=沖縄の根の神)のなつかしい声を聞いたように思った。

 

 

 

 

本名 大城将保(おおしろ・まさやす) 沖縄県玉城村生まれ。

早稲田大学教育学部卒。 「琉球王国衰亡史」「かんからさんしん物語」「昭和史のなかの沖縄」「琉球政府」「沖縄戦〜民衆の眼でとらえる戦争〜」「沖縄戦を考える」等多数の著書をもつ歴史家。一方、アニメ映画「かんからさんしん物語」や短編記録映画「戦場の童」「沖縄戦・未来への証言」、映画「GAMA月桃の花」のシナリオや演劇「洞ガマ窟」、「虹・レインボーハウスインコザ」「アンマーたちの夏」「密航者」等の脚本も担当。沖縄からの視点が光る。